3Dプリンターで建てられる家がある!?

各種の産業技術に大きな変革の波をもたらすと考えられているのが、3Dプリンターになります。3Dプリンターとは事前に入力されたプログラムに従って、合成樹脂を吹き付けて積層構造を繰り返して立体的に3次元構造をもつ物体を完成させることができるデバイスのことをさしています。登場した当初はサイズも小さく使用範囲が限定され、せいぜい人工臓器や手術のシミュレーションのための人工臓器など活躍する局面は限定されていました。ところが3Dプリンターの技術発展は目覚しく、海外では住宅建築の場面で利用されるようになっているほどです。そこで世界における3Dプリンターを用いた住宅建築の動向をご紹介し、日本における現状と今後の進展について考えてみましょう。

ニューヨークではホームレス救済事業の一環に、3Dプリンターで作られたHomedという革新的な住宅が建築されています。Homedは、ニューヨークとオスロに拠点を構えるFramlab社が技術開発し実施が可能になった建築物です。Homedが建てられたのは、既存の窓のないビルの一角で、そこに蜂の巣の個別の穴をイメージさせる六角形の住宅ユニットを組み合わせることで、限られた空間で多くの人間が生活することを可能にしています。窓のないビルにまず足場を組んで六角形のユニットを積み上げることで、狭い空間を有効利用して効率的に居住空間確保に成功しています。ニューヨークとオスロに拠点を持つFramlabが実践するHomedは、海外における代表的な取り組みの一つです。

翻って日本国内で3Dプリンターを建築の世界に導入する動きは、どうなっているのでしょうか。3Dプリンターを活用すれば、1日の時間もあれば必要なものは作り上げることが出来ます。建物サイズの大きさのものを製造できる3Dプリンターの開発に成功すれば、1日で住宅を完成させることもいつかは可能になるかもしれません。しかし地震大国日本では、建築基準法がネックになり制作されたものは建物には使用不可であると考えられているのです。日本の建築基準法は高い耐震性を要求されており、耐震基準を充足させることの出来る部品を製造するのは現時点では技術的に解決するべき部分が大きいからです。

しかし日本において進展が頓挫したわけではなく、建設業界大手の大林組ではセメント系の材料を使用し、部品を成型する技術の成功に開発しています。3Dプリンターの技術革新で使用不可の状況がブレイクする日がくる可能性もあるでしょう。