一戸建てを購入して売買代金や諸費用を支払えば、それでコストの負担の全てをまかなうことが出来るわけではありません。修繕費用などの保守メンテナンスや日々の日常生活を送るための光熱費など、常に何らかの支出を必要としています。住宅の価値や価格を図る尺度として、ライフサイクルコストという考え方があります。この考え方は、新築時にどこまで初期費用を負担し、その後居住生活を送る過程で必要になるメンテナンスコストをどこまで許容できるのかを考える際に有力な指針を示唆する考え方になります。そこで住宅の価格や価値と修繕のための費用などについて考えるべきか、ライフサイクルコストについて御紹介しましょう。
住宅価格の構成を確認しておくと、初回購入時に必要になるイニシャルコストと入居後に必要になるライフサイクルコストの二つからなっています。イニシャルコストとは住宅購入時に必要になる費目のことで建築費が代表的です。これに対してライフサイクルコストとは、住宅の寿命全体で必要になる費用のことで、光熱費などのエネルギーコストのほかに修繕費などのメンテナンスコストを含んでいます。一戸建て住宅を購入するときに、イニシャルコストとライフサイクルコストのいずれを重視するべきかの選択に迫られるといって間違いないでしょう。
家探しをしているときには、建築費や設備費用などのイニシャルコストに関心が向きがちです。新築工事のためには巨額の資金が必要で、住宅ローン審査を通過するために、熱心に走り回る向きも多いのではないでしょうか。水回り設備や外壁のグレードなどにこだわれば、イニシャルコストも相当な額に上ることを覚悟しなければなりません。逆にイニシャルコストの安さを追求しすぎるあまりでは、安普請でメンテナンスコストが嵩むリスクが高くなります。
日常生活において住宅に費やすことの出来るコストには限りがあります。食費の他に、光熱費に交通費などのエネルギーコストや教育費など、実に様々な費目の出費の必要性に迫られているのは確かです。ローコスト住宅などで、イニシャルコストを低く抑えることが出来ても、素材の品質が低い場合は修繕費用や保守費用の頻繁な支出が必要で、長期的に見れば相当の金額が必要になることもありえます。
つまりライフサイクルコストも踏まえて判断しないかぎり、イニシャルコストの妥当性を判断するのは危険です。ライフサイクルコストとの兼ね合いで、イニシャルコストの妥当性を判断するのが賢明といえます。